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ビザスク開発ブログ

ITチームの2022年を振り返って

こんにちは。ビザスクのITチームのたっきー(@mizeeey)です。気付けばもう年末ですね。皆様、2022年はどのようにお過ごしでしたでしょうか。年が変わるまであと少し。ここで来年の自分たちのために2022年に取り組んだことと、見直した事をまとめたいと思います。そして、この記事を読んでいる方の一助となれば幸いです。

はじめに


ビザスクのコーポレートITはプロダクト開発以外のIT領域を担当しているチームです。PCや携帯の調達管理からITサービスの導入維持、社内のお問い合わせやセキュリティトレーニングなんかをやっている、いわゆる情シスというポジションです。

私にとっての2022年は大先輩の離脱後の穴を埋めるべく、体制の立て直しに東奔西走した年でした。大袈裟かもしれないですがそれくらい必死だったということです。そしてチームにとっても大きな変化があった年でもありました。仲間が増えてチームが大きくなり、チームの役割もだんだんと変わっていったからです。振り返ってみると従来の枠を超えた動き方や未来への種まきなど様々な事をやりきることができた1年だったと感じられました。

主に取り組んだこと


2021年11月に買収が完了した米国子会社とのインテグレーションが進む中、2022年のITチームは体制の立て直しから始まりました。

とはいえ会社の変化は止まらないので、立て直しもしつつ従業員の皆さんが感じる問題を1つ1つ解決していくことに集中しました。必死に運用を安定させながらその傍らで将来的にチームが事業にどうやって貢献できるかを考え続け、来年以降大きく社内IT環境を変化させるために少しずつ下準備を進めたりと、見えないところで動き続けた年になったと思います。

弊社は既にリモートワーク可能な環境を構築していたこともあり、今年は全社影響があるアップデートよりも、特定の部署やメンバーが困っていることを解決したり生産性が高まる施策が中心になった年でした。

入社タイミングを週初に固定化

入退社対応でアップアップしていた寒い季節。ITチームのリソースが回らないことが主な要因で、入社タイミングは週の初めに固定!という施策を始めました。月初なんかは例外扱いにしていますが、今考えるとこの時期に週初に固定化しておいたおかげでなんとか乗り切れたのだと思っています。

入社人数が増えてくる&入社時のトレーニングを必須化し始めると、だんだんと固定化していく流れになってくるのかな、と。

来年はPCのセットアップやMacの画面共有設定など入社時初日につまづきやすいポイントなんかをサポートする時間を設けようという話が進んでいます。こうなってくると固定化されたことが逆に効率化につながってきますね。この施策の結果は別のブログにまとめようと思います。

SmartHR

smarthr.jp

ビザスクではこれまで従業員情報が複数のマスタで管理されていたこともあり、労務管理作業の簡略化と合わせて情報の一元管理をスタートしました。サービスの実運用は人事や労務色が強くなるのでITチームはいつまでにどんなことをやりたいかを明確にしつつ進捗が遅れないよう設定面でサポートを継続しています。

ITチーム目線だとSmartHRは従業員マスタとなるため各SaaSのデータの源泉になり得る存在です。データの活用を意識すると入退職や異動のチケット生成を始め、最近では部署情報が更新されるとSalesforce上の従業員情報を更新するような機能の開発も進められるようになって、どんどん効率化が進んでいきます。アカウントのライフサイクルを意識するとSaaSAPIが公開されているのは必須だと感じますね。本当に。

また、SAML SSOアカウントの操作をAPIでコントロール可能になった際もすぐに対応しました。新入社員が入社日を迎えると、個人メールアドレスをIDにしたID/Pass認証から弊社のIdPを介したSSOに自動的に切り替わるという仕組み。これは別のブログ記事で紹介予定なので詳しいことは割愛しますが、便利です。

Notion

www.notion.so

弊社エンジニアが中心になって、タスク管理ツールをNotionに移行した春。

元々ITチームでも台帳代わりに細々とNotionデータベースを利用していたのですが、これで利用者がぐっと増えました。

機能アップデートも頻繁に行われていて、チームスペース機能が公開された時点でやっと社内利用、社外コラボレータを招待したプロジェクト管理、最低限のWeb公開ページ管理ができるようになったかなーという印象です。

とはいえ、Notionの何でもできる感と、データベース操作がエンジニア以外のメンバーには難しく感じるようで、もっとシンプルな使い方ができるツールが良いというお話も社内でチラホラ聞くことがあります。全社展開にはもう少し問題解消が必要なようです。

Gather

www.gather.town

2022年になってビザスクでは新しいコミュニケーションの形を求めてGatherというバーチャルオフィスサービスを一部のメンバーで利用し始めました。

実はこのGather、テックブログ記事で紹介したことがきっかけで、いっきに社内ブームに。最初はエンジニアチームだけだったバーチャルオフィスも、次第にバックオフィスメンバーも全員参加したり、海外メンバーも参加したりして日英の会話が混じったりと、どんどん大きくなっていきました。

このレトロ感が自分の世代には(世代がバレますが)ドンピシャですね。現在はオフィスに出社する機会も増えたこともあってか社内ブームが去り、リモートワークしているメンバーを中心に利用されているといった状況ですが、エンジニアで開催している月1のランチイベント等はGather内のイベントスペースで実施しています。ご興味があれば25名までは無料で利用できるため触ってみてはいかがでしょうか。(2022/12時点)

小技を紹介してくれている弊社エンジニアの記事はこちらから

Receptionist

receptionist.jp

数年前まで受付管理システムとして使っていたReceptionistですが、会議室管理をやりたく一度は別サービスに乗り換えたものの、機能アップデートを機に再び利用し始めました。

複数の機能を1アカウントでまとめて管理できるところが良いポイントです。それと日程調整機能は採用面接の時間調整にガリガリ利用させてもらっています。他社さんと仕事をしていると、まだまだ日程調整ツールは浸透していないなぁと感じるくらい、候補日を直接やり取りして決めることが多いです。そんな時に日程調整用のURLをスッと出せるとスマートですね。

Zoom phone

explore.zoom.us

最近始めたばかりなのでまだ評価できないのですが、zoomが提供しているIP電話を使い始めています。営業メンバーがトライアルしてみたところ、音声品質が高く通信も安定しているとのこと。来年になったらぜひITチーム内でも使って試してみようと思います。

正直物理携帯は紛失盗難リスクがあるので国内電話しか使っていないのであれば可能な限りIP電話に切り替えたい気持ち。こういった地道な活動がセキュリティに繋がったりするんですね。

セキュリティ関連


今年はあまり大きなアップデートが無いのですが来年以降セキュリティ運用体制をアップデートしようと計画中です。グローバルに拠点が点在する中でサービスを相互利用する機会も増え、社内ITの一部サービスの共通化も進めていく中でID統合やトラストの強化が必須となってきています。弊社ではいわゆるゼロトラストという概念を元にセキュリティ強度を高めた継続改善可能なIT環境を構築する予定です。

という理由から今年は後回しにしたくない箇所から手を付けています。

KEEPER Security

www.keepersecurity.com

一部に残るスプシやメモ帳でのパスワード管理を撲滅させる目的と、どうしても運用しないといけない共通アカウントの認証情報を管理する目的でパスワードマネージャを利用してみることにしました。

要件としては、パスワードマネージャ自体がSSO可能なサービスであり、組織内でパスワード情報を共有可能であることの2つを上げています。現状で要件を満たすサービスとしてKEEPER Securityを候補にあげています。最近1PasswordもSSOによるロック解除を始めたので選択肢が増えてきた印象です。あとは利便性で判断する形ですね。

BUNDLE

bundle.jp

ユーザプロビジョニングの選択肢を増やすためにBundleというサービスを利用し始めました。現在IdPとして利用しているAzureActiveDirectoryからはユーザプロビジョニングできるサービスが限られているので、もっと簡単にアカウント有効無効化が可能なサービスを探していました。

またサービス内で承認済か未承認のステータスを保持することで、サービス上のアカウントが正しいプロセスを通して発行されたアカウントなのかどうかを判別できるような機能も増えたようなので、アカウントの棚卸し作業の簡略化にもつながると期待しています。

MacOSWindows

www.apple.com

www.microsoft.com

弊社は社用PCのMacOS率が高く、7:3くらいの割合でWindowsユーザよりもMacユーザが多い状況です。そのため優先的にMacOSの運用方法を改善してきた経緯があります。それでも今後のEX(EmployeeExperience)やエンドポイントセキュリティの強度を考えた時に選択したOSによって偏ってしまわないように、遅れをとっていたWindowsの運用をアップデートしました。

具体的に実施したことは以下で、これらの取組みは運用工数削減や利便性向上、認証強度の向上に繋がりました。

  1. Windows AutoPilotを利用しゼロタッチキッティング可能
  2. WindowsHelloを利用可能にして生体認証でサインイン可能
  3. Windows11を利用可能(既存端末は現在移行中)

この中だとパスワードレス環境をつくるための布石としてWindowsHelloを解放できたことが一番の成果だったと思います。はやくパスワードの無い世界をつくりたいです。

オフィスファシリティもアップデート


画像を見てもらうと、え?総務??とツッコミあるかと思いますが、おかしな点はありません。

そうです。通称電話Boxです。弊社は2種類のフォンブースを導入しています。それぞれ特徴があるので使い分けている感じです。

フォンブース導入

Kolo solo

複数台が並んでいる姿を見ると圧巻ですね。ついにフォブースを導入できるフェーズまで来たか!って気持ちになります。もちろんお高いのでこの手の製品はレンタルで借りるようにしています。

オフィス内の会話って響くことがあるので集中したいメンバーがいる時って気を使うんですよね。また一人で会議室を占領することも多々あり、ブースを設置したことで会議室不足問題がぐっと減ったのが良かったです。

リモートキャビン

kolo solo と違い椅子を入れることができるので長時間利用するのに向いています。

導入後は利用者の声を拾い、ブース内にモニタを設置したりして使い勝手を良くしています。

ハブモニタ設置席拡大

tech.visasq.com

ちょっとずつ拡大していったデスク周辺環境も大詰めに。現在ハブモニタの設置率は7割を超えました。これによりフリーアドレスを維持しながら配線の簡素化を両立しメンバーの持ち物を減らすことに成功したかと思います。

モニタだらけなのでオープンなスペースもほしいという意見もチラホラ上がっているので正解は無いのかもしれませんが、一定以上のデスク環境品質を提供できているかと思います。あとは新入社員向けに使い方の周知を地道に続けていくことが課題だと感じています。

ビザスク自身も変化している真っ只中


visasq.co.jp

2022年11月にグローバル全体での体制変更を発表。今まで以上にグローバルを意識した体制で、より時差と言語を超えたコミュニケーションが必要になるんだろうなと感じた瞬間でした。

そしてITチームはこの変化に対応しつつ事業にどのように貢献できるかを考えました。具体的には来年から始まるID統合と並行してコミュニケーション・マネジメントとコンテンツ・マネジメントの観点からグループ全体で利用するアプリケーションの統一化を計画しています。

インテグレーションを推し進めていくためにITチームの働きも必要になると考えていて、直接的ではないですが最前線で働くメンバーを支えるためにできることを試行錯誤していきます。

チームの変化


今年は新たに2名のメンバーが増えました。1人は社内SE歴が長い方でバリバリ開発がこなせるメンバーです。GASやZapierなどのローコード/ノーコードツールで構築された社内ツールの改善や新規構築を中心に担当していただいていて、SaaS導入時に関係者とのコミュニケーションやプロジェクト推進も担っていただけている頼もしい方です。

またもう1人は情シス経験者でストイックに仕事とプライベートに向き合っている方です。入社してからチーム内の雰囲気も変わって、情報収集の仕方や会社やチームの将来についても議論する機会が増えました。非常に感謝しています。

ビザスクにJoinしてくれて本当にありがとうございます😭

従来のチームの役割を見直し、再定義してみた


我々ITチームが認識している会社の中の役割というのを改めて考え直すことで、今後何に力をいれていく必要があるのか明確にしようとオフサイトミーティングを開催しました。

我々自身がチームの役割を再認識することで仕事の優先度付をしやすくする狙いがあります。

土台となる基本のスタンス

まずは今までもやっていて、今後も継続したほうが良いこととして、ITチームに求められているもの+ITチームが提供したい価値をすり合わせました。

やはり根っこにある大切なマインドは従業員ファーストな対応であることだと感じています。この従業員ファーストで動くことが、結果的に事業成長につながると考えているからです。もちろんルールの範囲内での話ですし、無茶無謀を叶えるわけではありません。それでも従業員のメンバーがやりたいことを実現するためにサポートするのがITチームなんだと思います。

  • ファクトベース
  • レスポンス早く
  • ホスピタリティ高め

継続して改善したほうが良いこと

次に今もやっているけどもっと改善したほうが良いことは、社内トレーニングと働く環境の改善です。

ITチームはルールメイカーな役割も担っていて、会社の中では決まり事を守ってもらうようにお願いする立場でもあります。ルールを明確にして守ってもらうことはコンプラにもつながっていて、会社に浸透させるためにも社内トレーニングが大切になります。来年はトレーニングの定期開催に加え、任意参加型のトレーニング機会を増やしても良いかなと考えています。ここは施策の検証結果をブログにまとめたいと思います。

そして動いて当たり前とされるデバイス群と利用サービスの安定運用を継続して、従業員全体の時間を失わないように改善していくことです。前述したルールを守ることが前提ですが、手始めに会議室の配線やデスク周辺機器を定期メンテしたり、オンボーディングプロセスを見直したりしてみようと考えています。

組織規模も大きくなってきているため、何から何まで問題が起きてから対処するーーというわけにはいかなくなってきたという印象です。

コーポレートITの新しい役割

そして最後は今まであまりできていなかったけど今後はやっていきたこととして、セキュリティ運用、オフィスファシリティの改善、エンジニアリングの3つをあげました。

ちなみに以下の取組みは特段新しいものではないですし、会社ごとに担うチームが異なるかもしれません。当然ビザスクでも今後新たな組織やチームができる可能性もあり待ちの姿勢でいることもできるかと思います。それでも事業成長のために新たな役割を今後担えるようにしていこうと考えました。

1. 継続して改善し続けるセキュリティへ

いわゆるゼロトラストモデルの構築です。場当たり的なセキュリティ対策ではなく、常に現状のポリシーが最適かどうかを判断して改善していく仕組みと体制をつくります。現在の仕組みもゼロトラストを意識した作りになっていますが、グローバル拠点が一気に増えたこのタイミングで仕組みを作り直したいと考えました。

ビザスクはアウトバウンドM&Aという成功事例がない環境下を突き進んでいます。我々も臆せず事業成長のスピードが落ちないように組織を支えていかないといけないと感じています。

2. ファシリティ改善

従業員にとって働きやすい環境はWeb上の仕組みだけとは限りません。オフィスに来て仕事をするのであれば、オフィスファシリティも対象です。前述したような会議室やデスク周辺に限らず、フォンブースの増設や共用スペースと会議室の間にサウンドマスキングをかけたりと総務と協力して働きやすい環境づくりに貢献していこうと考えています。

現代はIoT技術も発展してきているため、将来のコーポレートITにはファシリティ管理の役割が増えたり、総務の一部業務との統合が始まるかもしれませんね。

3. 開発(エンジニアリング)

弊社でもたくさんSaaSやツールを使うようになりましたが、サービス間のデータ連携はまだまだ手動だったりするシーンを多く見かけます。連携できるサービスは限定的ですし、連携方法も様々です。様々な情報がデータ化している現代において手動反映は極力減らしていかないと業務の効率化にはつながりません。

そこで明確な役割ではなかったプロセス改善をチームの役割としていこうと考えました。プロダクトに関連する業務プロセス改善には弊社のエンジニアリソースを優先して投入できますが、どうしてもプロダクトに関わらないバックオフィス業務のプロセス改善は優先順位が下がる傾向があります。ITチームはそもそもスキルセットが異なるためプロダクト開発はできません。しかし、逆に優先度が下がりがちな施策の担い手になれるように立ち回ることができると考えています。

プロセスオートメーション化の対象は会社全体に存在しますし、ゼロトラストモデルへの変換自体がiPaasなどのノーコードツールとの相性が良いという点もメリットです。SaaSで業務が成り立つ時代はデータをサイロ化するのではなく相互利用することで効率化できるシーンが多いので、手始めにSmartHRの従業員情報を各サービスに反映させる等、データを活用する仕組みづくりから始めていきたいと思います。

最後に


この1年はあっという間でした。

特にグローバル体制を意識して社内IT構成変えるぞってなってからは時間が溶けていった気がします。ただ、新たな仕組みを考えたりするのはとても楽しくて今はワクワクしかありません。将来、ここで考えておいて良かったーと言えるように来年以降も走り続けます。

新たな役割も担えるようにITチームでは仲間を募集中です。大きく変化している最中でもあるので、面白いフェーズじゃないかなと思います。興味がある方はぜひお話しましょう💪