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ビジネス経験はなぜ「話せるトピック」に改名されたのか

こんにちは、デザイナーのながおかです。
ジメジメとした日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は6月にリニューアルした「話せるトピック」についての記事です。
ご存知の方も多いかもしれませんが、以前の話せるトピックは「ビジネス経験」という名称でした。

なぜ「ビジネス経験」は「話せるトピック」に改名されたのか。
今回はそのプロジェクトの裏側をお話できればと思います。

旧ビジネス経験の課題

リニューアル前のビジネス経験には多くの課題がありました。
特に大きかった課題は、「職歴」と「ビジネス経験」の差が伝わらないということです。

登録された職歴

職歴は文字通り、これまでの所属企業や職業を時系列順に登録するものです。
企業名や役職だけでなく、担当業務や地域なども設定できます。
こちらは依頼者の方にも登録をお願いしています。

旧ビジネス経験

一方のビジネス経験は、スポットコンサルで話せることを書く機能です。
文章で入力する必要があり、金額も設定できます。
アドバイザーとして活躍するためのもので、依頼者の方は登録しません。

職歴とビジネス経験にはこのような差がありますが、どちらも自身のこれまでの経験を書くものなので、内容が重複してしまいがちです。
ユーザーの方からも「職歴で書いたことをもう一度書かされる」「何が違うのかわからない」という意見をいただいていました。

リニューアルプロジェクトがスタート

まずは関係者で集まり、ビジネス経験の課題やその原因について議論します。
メンバーは、CS1名・エンジニア2名・デザイナー1名(私)の計4人です。

話題に上がったのは「名前がわかりづらい」ということでした。
ビジネスでの経験ってつまり「職歴」なのでは? これではユーザーに伝わらないのも当然です。

どんなにUIがわかりやすくても、名前による第一印象を正すのは困難です。
そこで、メンバー全員で名前を考え直すことにしました。

商品らしさが伝わる名称へ

職歴との差を考えたとき、もっとも特徴的なのは金額を付けられる点でした。
アドバイザーがスポットコンサルの依頼を得るため、依頼者にアピールするのがビジネス経験です。
これはECサイトにおける「商品」のページに近いように思えました。

そこで、知見や経験という言葉に加えて「商品」らしさが伝わる名前を考えます。実際に出たのが以下のような案です。

  • 提供できる経験
  • 知見をチケット化
  • 経験を出品

この中でも「経験を出品」は特に商品らしさが強く、伝わりやすい名前でした。
機能の改名は大きな変更なので、これを持って経営陣との議論の場に進むことになります。

「世界観が違う」

結論から言うと、議論の場で「経験を出品」は却下されてしまいました。

元々、ビザスクは「すべてのビジネスパーソンがアドバイザーになれる」ということを伝え続けてきました。
フリーランスや副業中の方だけでなく、一般の会社員の方も多く登録しているのがビザスクの特徴です。
そういった方の中には「知識を売って稼ぎたい」ではなく「経験を活かして誰かの役に立ちたい」というモチベーションで活躍されている方がたくさんいます。

出品という言葉は、知識や経験を切り売りするように見えるかもしれません。
いままでのビザスクとはあまりにも世界観が違う、というCEOの言葉と共に、議論は振り出しに戻ってしまいました。

浮上する「話せるトピック」

商品として差別化するのは難しい。ではどの部分で差別化するのでしょうか。
あらためて職歴との差を考えると、職歴は自身のプロフィールとして登録するのに対し、ビジネス経験は依頼者に向けて書くという点が異なることに気づきました。

「私のこれまでの経験」や「私の得意なこと」ではなく、
「私が依頼者に話せること」「私が依頼者の相談にのれること」を書くのだという違いです。

しかし機能の名称として「話せること」や「相談に乗れること」では少々インパクトに欠けます。
「話せる経験」や「相談に乗れる経験」というのも、言葉として少し不自然な気がしました。

そこで急浮上したのが「トピック」という単語でした。

トピックとは

辞書にはこう書いてあります。

トピック(topic)
1 論題。題目。「トピック別に分類する」
2 話題になる事柄・出来事。また、話題。トピックス。「トピックニュース」

コトバンク より

ビジネス経験には「一人が複数登録する」という特徴もありました。

たとえば「Webデザイナー」という職務の中には、UI/UXの設計、LPやバナーの制作、デザインシステムの構築など、複数の仕事があります。
仕事内容だけでなく、サービス立ち上げの話、リニューアルの話、継続改善の話など、フェーズによっても話すことは変わってきます。

話せる内容ごとにビジネス経験を作ると依頼者に伝わりやすくなります。
依頼者に合わせて細分化したビジネス経験はまさに「トピック」と呼べるのではないでしょうか。

原点回帰

そうしてビジネス経験は「話せるトピック」に改名されることが決定しました。
これは開発チームとしてはとても意外な出来事でした。

実は、ビジネス経験のコード上の名称はもともと「topic」だったのです

URLも「topics」

当時どうして「topic」にしたのかは誰も覚えていませんでしたが、機能の名称が開発上の名称に寄ってくるというのは珍しい体験でした。
はじめから「トピック」という名前にしておけばよかったのでは…

いざ、リニューアル

名称が決まることでリニューアルの方向性もわかりやすくなりました。
つまり、私達が伝えたい職歴との違いは「依頼者に向けて書くこと」「複数登録できること」です。
それらがUIや説明文から伝わるようにデザインを進めます。

フォーム内にテンプレートが表示され、入力しやすくなりました

この名前やUIできちんとユーザーに伝わるのか?
といった点もユーザーテストを行いながら解消していきます。

社員に協力してもらったユーザーテスト

ユーザーテストの結果は良好でした。
職歴と話せるトピックの違いを正しく理解した上で、「依頼者に見られるという意識で書いた」「複数登録しようと思った」という意図通りのフィードバックも得られました。

これをもとに開発を進め、無事リリースできたのが6月。
最終的にできあがったのはシンプルなUIでしたが、以前よりずいぶんわかりやすくなったと好評です。

さらに強化するには

さて、話せるトピックのリニューアルは完了しましたが、まだまだ改善したいことは残っています。

たとえば「選べない」という意見からひっそりと削除されたカテゴリー機能。
登録する分には不要ですが、トピックを探す立場としては何らかの絞り込み機能も欲しいところです。

他にも「トピックにどんな値段をつければいいのかわからない」「どんなトピックが依頼者に伝わりやすいのかわからない」といった意見が届いています。
現在のテンプレートは1種類ですが、業種や内容に合わせて複数のテンプレートを提供するのもいいかもしれません。

こういった点をさらに改善して、アドバイザーが活躍しやすい環境を整えていきたいと考えています。
まだまだやることは山積みですが、しばらくは実際に登録された「話せるトピック」たちを眺めていることにします。

皆様もこの機会に「話せるトピック」を登録してみてはいかがでしょうか?