スタートアップのテレフォニー戦略

こんにちは!ビザスクのITチームの水戸守です。社内ITの管理などのコーポレートエンジニア(情シス)をやってます。
最近気温が上がり、マスクのせいか肌荒れがひどくなって困ってます。早くマスク外したいですね。

さて今回はテレフォニー。つまり電話関連のお話しです。
テレフォニーって情シスやってても経験を積みづらいですよね。
私もビザスクに入るまで経験が少なかったため、一人目情シスとしてゼロから構築することになった際に色々と失敗を経験しました。。

そこで、もう一度最初からテレフォニーの構築をやりなおすとしたらどうするかを考えてみたいと思います。

テレフォニーの種類

まずはどんな構成があるのかをまとめてみましょう。

家庭用固定電話
一般的な固定電話のことです。壁についているモジュラージャックから電話ケーブルを使って電話機に繋ぐ、というのが一般的な構成です。基地局から現地までの回線の種類はアナログ/デジタル/光回線などいろいろありますが、基本的に1つの電話機に1つの電話番号が紐づいています。

ビジネスフォン
主装置と呼ばれる機械を設置して外線の共有や同時利用ができるように設計されている電話機もしくはそういった電話環境のことです。これがあることで複数の外線番号を複数の内線電話で共有することができます。今までの一般的なオフィスの電話はこれか後述するPBXのどちらかだと思います。

PBX
はっきりとは定義されていないのですが、主に大規模なオフィスに設置されている電話交換機のことをPBXと呼ぶことが多いです。ビジネスフォンの主装置がスケールアップして高機能/高性能/可用性が向上したものだと思ってもらってよいです。PBXはコールフロー制御やIVRなどの基本的な機能はもちろんのこと、機種によって特別な機能があったりしてカスタマイズが効くので、まだまだ現役のところは多いです。その中でもIP-PBXと呼ばれるものは、LANケーブルで電話機と接続するので、電話ケーブルの設備が必要ないという利点があります。ただ、コロナ禍でオフィスに出社しない社員も増えた現在では、多くの会社で見直しが検討されている領域です。ちなみにメンテナンスが大変(コマンドラインインターフェースしか無かったり毎回ベンダーにお願いしたりとか)なので設定変更依頼があると憂鬱だった記憶があります。

携帯電話
今は全社員に貸与している会社も珍しくないですね。そのままでは当然単一番号での発着信しかできませんが、FMCサービスというものを利用することで既存のPBXと連携してオフィスの固定電話機などに内線通話などができるようになります。最近だとデュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)に対応したスマホも増えてきましたし、e-SIMという形式も増えてきたので、個人所有の端末に会社契約のSIMを追加するというのもありかもしれません。

クラウドPBX
PBXをクラウド環境で稼働させることでオンプレミスの機器をメンテナンスしなくてよくなる!というソリューションです。サービスによっては既存のPBXと併用することもできるので、最初は併用して最終的にはクラウドのみ、という段階的な移行も可能です。一般的にクラウドPBXはオンプレミスのPBXと比べて機能のカスタマイズができないことが多いです。

クラウド型電話システム
既存のPBXとの接続を想定していない、ピュアなクラウド型電話システムのことを今回は便宜上こう呼ばせて頂きます。基本的にPCのブラウザや専用アプリでの通話を想定したサービスで、クラウドPBXと同等の機能が用意されていることが多いです。

本題:スタートアップのテレフォニーどうする?

基本的な考え方

電話番号はできるだけ少なくする。
スタートアップに限らずこれに尽きると思います。電話番号を増やすのは簡単ですが、解約する際は非常に大変です。Webサイトや営業資料はもちろんのこと、名刺やメールの署名なども修正が必要ですし、取引先の内部で登録されてしまっている番号は場合によっては先方に変更を依頼することもあります。最近では多要素認証として電話番号認証を利用することもありますが、認証に使っている番号を解約してしまいログインできなくなってしまうこともあります。

スタートアップでは人的リソースが恒常的に足りないことが多いと思いますので、ビジネスに影響が無い範囲で可能な限り社員が電話を受けなくてもよいという仕組みを作ることが大事だと思います。

特に「問合せ先番号」は一度用意すると色んな意味でそう簡単には無くすことができないので、そういった番号を用意する場合は長く付き合っていく覚悟をしましょう。

会社の代表番号

とはいえ法人として登記する場合は必ず電話番号が必要です。最近は会社の代表番号に050番号が登録されている会社も増えてきましたので、0ABJ番号(東京だと03から始まる番号)にしなくてもよいのではと思います。リモートワークも普通になってきていますし、急にオフィスを解約してコワーキングスペースのみになる、といった可能性もありますので、機器の設置が必要な0ABJ番号を選ばないという選択肢は普通にありです。

ただし、050番号は基本的にナンバーポータビリティができないので注意してください。050番号を発行したサービスから乗り換えようとすると、番号を引きげないので別の番号になります。代表番号が変わると登記の変更はもちろん、前述しましたがWebサイトや営業資料の修正など影響箇所が多くてがかなり面倒です。

電話が無ければいいというわけではない

スタートアップとは、世の中の課題を解決するためにビジネスの成長をより重要視する組織です。もし電話というツールでビジネスの成長が見込めるならば導入は躊躇うべきではないです。ただ、状況が変わったらすぐ変更できる、もしくはすぐ無くせるような仕組み/構成をあらかじめ考えておきましょう。

じゃあどうしたらいいの?

とりあえずDIalpadというサービスを契約しましょう。現時点でテレフォニーがなにも無いという場合はこれ一択でしょう。最初は一番安いプランでOKです。
(¥800/月/user)

おすすめ構成

社員数1~5名

会社設立間もない時はとりあえず電話番号を用意しているだけということも多いと思います。Dialpadのライセンスを1つだけ契約して、基本的にすべてボイスメール(留守番電話)にしてSlackに通知しましょう。

番号の露出も少ないためあまり電話はかかってこないはずです。代表番号を受けるだけのために固定電話の回線を契約したりすると、オフィス移転などの際に結構大変ですので、PCだけで着信できる状態にしておきましょう。

社員数6~20名

代表電話にもそろそろ営業電話が増えてきます。そして、問い合わせ先がわからない取引先が代表番号に掛けてくるケースも出始め、ビジネスとして電話の重要度も増してきます。そのため、営業時間内は電話代行サービス(fondeskなど)へ転送し、営業時間外はボイスメールという構成にして、重要な電話に暫く気づけなかったということを減らせる体制にします。

可能だったらオフィスに固定電話機を設置すると、Dialpadのアカウントを持っていない人でも会社の電話として利用できるので便利です。

また、営業メンバーなどで電話番号が必要になってくるころですので、その場合はDialpadのアカウントを発行しましょう(ただし代表番号への着信はアサインされないようにする)。外回りが多い場合はDialpadではなく携帯電話でもいいかもしれません。

社員数21名~

この頃になると事業内容によっては個人直通番号だけでは捌き切れなくなってくるので、部署の代表番号が必要になってきます。

営業資料にも電話番号を記載する必要がでてくるため、問い合わせ先の番号を準備しましょう。(できればメールアドレスだけがベストではあります)

なお、これ以降の構成はビジネスや組織に合わせて大きく異なってきますが、ここまでテレフォニーを運用してきたあなたならきっと最適な構成を考えられるはずです。

ただし、何度も言いますが「あったほうが便利じゃん」という安易な気持ちで電話番号を増やすのはやめたほうがよいです。お金もかかりますし、運用コストがどんどん増えていきます。本当に必要なのか?と熟考して判断しましょう。

おまけ:私の失敗談

さて、本編(?)はここからです。私のテレフォニーに関する失敗談をご紹介したいと思います。

1. 蜘蛛の巣状になったLANケーブル

ビザスクは2018年9月にオフィスを移転したのですが、その際に「電話取次ぎのために固定電話機が欲しい」という要望がありました。ちなみにそれ以前は、ダッシュでスマホを渡しに行く、というワイルドな運用でした。

私も「よし任せろ!」と意気揚々とクラウドPBXベンダーに連絡し、移転して数か月後にはデスクに数十台の固定電話機が並ぶことになりました。「快適になった!ありがとう!」という言葉を貰い、私も誇らしい気持ちになったことを覚えています。

それからしばらくは「うんうん、いい感じで使ってくれているね」とニコニコしながらデスクを眺めていたのですが、ある日不穏なワードが聞こえてきました。

「来週、〇〇チームは席替えします」

ん?電話機動かすの?何かサポートしなきゃだめかな?と思ったものの、同じ島での席替えだったので「電話機を動かすときはLANケーブルはそのままにしておいてねー」と簡単に周知して終わりにしていました。そのあとも小規模な席替えは行われていたようですが、LANケーブルの配線は各自で作業してもらっていました。

そしてついにやってきました「組織改編による大規模な席替え」

電話機がすべて取り外された島の下を見たところ、そこには蜘蛛の巣状に張り巡らされたLANケーブルがありました。そう、席替えが繰り返されたことによって配線がぐちゃぐちゃになっていたのでした。再度その島で固定電話機を使うこともあるかと思い、LANケーブルは残しておこうと考えていましたが、これでは無理だと判断し、泣きながらすべて撤去することにしました。

そして再整備したのもつかの間、変更後のデスクレイアウトで不都合があるということで、2カ月程度で再度大規模な席替えが発生し、新規でLANケーブルを設置し、またも蜘蛛の巣状になったLANケーブルを回収しました。

しました、とだけ書いてますが、やったことある人は分かると思いますが、デスクへのLANケーブルの設置ってめちゃくちゃ大変です。しかも1つの席にはIP電話用とPC用の2本ずつ用意していたので、丸一日やっても終わらないという絶望の作業です。(ベンダーにお願いするとお金がかかるのでもちろん手弁当です)

更に更に、数か月後にはフロアの増床が行われることになり、デスクレイアウトも大幅に変更することになりました。

はい、そうです、もう一度全部配線やり直しです。

コロナ禍ということもあり猶予があったので何日かに分けて少しずつ配線を進めていました。そして、やっと配線が終わりつつあったある日、全社員にこんなアナウンスがありました。

「オフィスへの出社が再開したらフリーアドレスとなります。」

(白目)

色々思うところはありましたが「電話のためにLANケーブルを引く必要はなくなる」というのは嬉しかったです(笑)

もし私が固定電話機を設置するタイミングに戻ったとしたら「LANケーブルは自分でつないでもらう」方式にします。島の真ん中あたりのデスクの上にHUBをドンと置いて、さぁケーブルはここにあるから使いたい人は自分でつないでください、と。

もちろん見栄えはよくないのですが、見栄えより利便性です。

2. 携帯のシェアプラン突然の廃止

これは失敗というかしょうがない部分もあるのですが、コロナ禍と合わせて非常に大変だった話です。

私が入社した当時はモバイルルーターやスマホ、ガラケーやPHSがキャリアもバラバラで入り乱れてカオスな状況でした。これを整理するのも一苦労でしたのですが今はその話は置いておきます。(なんでUQmobileが1回線だけあるの?しかも社長個人名義だし。。など)

最終的に全回線をdocomoにMNPすることになったのですが、パケットシェアプランを契約することでガラケーメインからスマホに変わったにも関わらずコストを若干下げることができました。キャリアも一本化したことにより管理も楽になったということで、我ながらいい仕事したなと思っていました。

そしてNMPが完了した2か月後、パケットシェアプランの突然の廃止。

それ以降に新規契約した回線はシェアプランに組み込むことができなくなったため、管理が面倒になるという悲しい状況になりました。とはいえ新規回線もそんなに多くなくコスト抑制はできているので、しばらくは様子見ということにしました。

そしてコロナ禍です。

急にリモートワークに移行したため、自宅のインターネット回線が整備できていない方が、業務のためにテザリングを利用したことで、通信上限に達して低速になる回線が続出。急遽プラン見直しを検討するも、シェアプランは新規申し込みが終わっていたためプランを組みなおすことができず、モバイルルーターの貸し出しを実施。シェアプランではない回線も上限までプランを上げたことにより、会社全体の通信料が急上昇となりました。

どうしようかと悩んでいたところでちょうどiPhone SE2が発売されることとなったため、機種変更と通信キャリア変更を合わせて実施し、更に相対契約にすることでコストを最適化することができました。

最終的にいい感じに落ち着いたのですが、やっぱり法人契約なら相対契約ですね。キャリアとしての信頼性を重視してdocomoにしたのですが、3大キャリアであればどれでも変わらないようです。

3. ナンバーポータビリティができない

携帯電話と違い、ナンバーポータビリティができない番号が多いです。

  • 0ABJ(03など) : ひかり電話の場合はひかり電話間でのみ可能
  • 050 : 基本不可
  • 0120 : 可能(だけど結構大変)

前述していますが、オフィス移転の際にとあるクラウドPBXを契約しました。その際に、0ABJ番号も一般的な固定回線に移管してしまおうと思ったんですが、なんとひかり電話は普通の電話回線にポータビリティできないとのこと。。泣く泣く再度フレッツ光を契約することになりました。

ひかり電話は私が入社前に契約していたのでしょうがないのですが、問題は050番号です。電話サービスを乗り換えることがあると考えてなかったため、希望があれば積極的に個人に050番号を払い出していました。もちろん名刺にも記載されているため、Dialpadに乗り換えようとしている今、絶賛乗り換えのための撤退戦略の難しさに苦しめられています。具体的には旧番号は解約することになるのですが、しばらくは転送しないと駄目だったり、番号が変わった社員の名刺を刷りなおすと結構お金がかかるので、名刺が新しくなってから番号を削除しないといけなかったり、いろいろ考慮することが多くて大変です。。

今後は社員の名刺に記載する番号は「代表番号」「個人直通(携帯のみ)」に統一する予定です。

最後に

ここ最近はSlackやTeamsやZoomなど、モダンなコラボレーションツールが浸透してきていますが、電話やメールなど、レガシーなコミュニケーションツールは今後もしばらくは残り続けると思います。

ある意味レガシーの良いところでもありますが、電話やメールは機能のアップデートが頻繁にあるわけではないです。運用が始まり安定稼働すると触る機会も少なくなるので、リプレイスなどの機会があったら是非手を挙げていろいろと経験してみるのはきっと皆さんの長いキャリアの中でもプラスになると思いますよ。

そしてちょうどテレフォニーに興味があるというそこのあなた、ビザスクではテレフォニーを含めた社内ITを管理・改善するコーポレートエンジニアを募集しております!興味がありましたらご連絡ください!

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